企業型DCの利回りは前年度2.0%、通算4.7%|単年の数字でFIREを計算しない
本記事は情報提供を目的とした解説であり、特定の投資手法・金融商品の購入や売却を勧誘するものではありません。企業年金連合会の調査結果は、2026年10月21日に公表資料を取得して確認したものです。確定拠出年金で運用する投資信託は元本が保証されず、運用利回りは将来の成果を約束するものではありません。積立のシミュレーションは仮定を置いた計算例で、手数料や税金は考慮していません。制度の詳細は厚生労働省・勤務先の制度資料をご確認ください。
結論から言うと、企業型確定拠出年金(企業型DC)の平均運用利回りは、2024年度の1年間で2.0%、制度導入からの通算で4.7%でした。企業年金連合会が2026年3月26日に公表した「2024(令和6)年度 企業型確定拠出年金実態調査結果」によると、前回の調査では1年間が13.3%、通算が6.9%です。1年で13.3%から2.0%まで動く数字を、そのままFIREの計算に入れると、出口の見積もりが大きくぶれます。単年と通算の違い、会社が置いている想定利回り2.02%との関係、資産の中身を順に整理します。

企業型DCの運用利回りは、いま何%ですか?
2024年4月から2025年3月までの1年間の平均運用利回り(年率)の平均値は2.0%です。制度を導入してからの平均運用利回り(年率)の平均値は4.7%でした。どちらも企業年金連合会の調査で、企業ごとの加入者全体の利回りを平均した数字です。
この調査は企業向けのアンケートで、運用利回りの設問には企業ごとに回答した数字が集計されています。1人ひとりの加入者の利回りではないので、自分の口座の利回りとは一致しません。自分の数字は、記録関連運営管理機関のサイトや年1回のお知らせで確かめるものです。
単年は13.3%から2.0%へ、通算は6.9%から4.7%へ
前回の調査と並べると、1年間の数字のぶれの大きさがよく分かります。
| 指標 | 前回調査 | 2024年度調査 |
|---|---|---|
| 1年間の運用利回り | 13.3% | 2.0%(2024年4月〜2025年3月) |
| 制度導入からの通算 | 6.9% | 4.7% |
1年間の数字は11.3ポイント下がりました。資産の多くが投資信託なので、その年の株価や為替の動きがそのまま出ます。通算の数字も2.2ポイント下がっていますが、単年ほどは動いていません。長い期間の平均は、1年分の上下が薄まるからです。
FIREの計算で知りたいのは、退職までの長い期間にどのくらい増えるかです。その目安として見るなら、単年の13.3%でも2.0%でもなく、通算の側に近い数字を使う方が、見積もりはぶれにくくなります。ただし通算も、過去に実際に出た数字であって、これからの利回りではありません。

想定利回り2.02%と比べると、どう見えますか?
通算の4.7%は、会社が置いている想定利回りを上回っています。想定利回りとは、事業主が掛金の水準とモデル給付額を検討するために置く、退職までの平均運用利回りのことです。同じ調査で、その平均値は2.02%(前回2.08%)でした。
分布を見ると、2.0%超2.5%以下が36.1%で最も多く、1.5%超2.0%以下が14.8%、2.5%超3.0%以下が22.2%と続きます。会社は「年2%前後で回れば、モデルどおりの給付になる」という前提で制度を組んでいることが多い、と読めます。2024年度の単年2.0%は、ちょうどその前提と同じくらいの年だったということです。
想定利回りは目標ではなく、掛金の設計に使う前提の数字です。自分の運用がこれを下回ると、会社のモデル給付額より受け取りが少なくなる可能性があります。
資産の66.2%は投資信託、33.6%は元本確保型
利回りの差を生むのは、何で運用しているかです。調査によると、投資信託の配分割合の平均は資産残高ベースで66.2%(前回63.1%)、掛金ベースで66.6%(前回63.8%)でした。残りは主に預金や保険などの元本確保型商品で、資産残高ベースで33.6%です。
| 区分 | 資産残高ベース | 掛金ベース |
|---|---|---|
| 投資信託 | 66.2% | 66.6% |
| 元本確保型商品 | 33.6% | 33.1% |
| 未指図資産 | 0.1% | 0.3% |
会社が出す掛金の平均は、確定給付企業年金などの他の制度がない企業で1人あたり月16,336円、他の制度がある企業で月11,775円でした。加入者が上乗せする掛金の平均は、それぞれ10,539円と6,197円です。投資信託を選んだ本数の平均は18.0本で、そのうちパッシブ型が10.9本、アクティブ型が6.7本でした。

自分で掛金を上乗せするマッチング拠出は、導入している企業が52.4%(前回51.9%)ありました。ただ、導入している企業のうち、実際に加入者掛金を出している人の割合は平均35.2%で、利用率が2割に満たない企業も30.3%あります。入金力を上げたいFIRE志向の人にとって、会社の制度にこの枠があるかどうかは、最初に確かめておきたい項目です。
一方で、マッチング拠出で上乗せしたお金も、会社の掛金と同じく60歳まで引き出せません。所得控除で税金が軽くなる効果と、手元で使えないお金が増えることは、セットで考える必要があります。
20年積み立てたら、利回りでいくら変わりますか?
仮に、毎月2万円を20年間(240か月)積み立てるとします。年率を月割りにして毎月複利で回した単純な計算で、手数料と税金は入れていません。
| 年率の仮定 | 20年後の金額(目安) | 積み立てた元本との差 |
|---|---|---|
| 0%(元本確保型だけの近似) | 480万円 | 0円 |
| 2.02%(想定利回りの平均) | 約591万円 | 約111万円 |
| 4.7%(通算利回りの平均) | 約794万円 | 約314万円 |
同じ480万円を入れても、2%台と4%台では200万円ほど差が出る計算です。逆に言えば、単年の13.3%を毎年続く数字として置くと、見積もりは大きく膨らみます。FIREの計画に入れる利回りは、低めの仮定から始めて、上振れは結果として受け取る方が安全です。
FIREの資金計画にDCを入れるときの注意
企業型DCの資産は、原則として60歳まで受け取れません。FIREで40代や50代に会社を辞めても、DCの資産はその時点の生活費には使えず、受け取れる年齢まで運用を続ける形になります。取り崩し期の前半を支える資金は、NISAや課税口座など、いつでも引き出せる口座で用意しておくのが前提です。
辞めたあとに手続きをしないと、資産は国民年金基金連合会へ自動移換され、運用が止まります。DCを「60歳以降の資金」と割り切り、退職のときにiDeCoなどへ移す手順まで計画に入れておくと、出口でつまずきにくくなります。受け取り方による税金の違いはiDeCoの受け取り方と税金の記事で整理しました。年末の売却の数え方は年末の損出しの記事にまとめています。
よくある質問(FAQ)
- Q. 企業型DCの平均運用利回りは何%ですか?
- 企業年金連合会の2024年度調査では、2024年4月〜2025年3月の1年間が2.0%、制度導入からの通算が4.7%でした。前回の調査では1年間が13.3%、通算が6.9%です。
- Q. 想定利回りとは何ですか?
- 事業主が掛金の水準とモデル給付額を検討するために置く、退職までの平均運用利回りです。同じ調査での平均値は2.02%でした。
- Q. FIREの計算には、どの利回りを使えばいいですか?
- 単年の数字は年ごとの振れが大きいので、長期の平均に近い数字を目安にし、低めの仮定から計算する方がぶれにくくなります。過去の利回りは将来を約束するものではありません。
- Q. FIREで早く退職したら、DCの資産は使えますか?
- 原則として60歳まで受け取れません。退職後も運用を続ける形になり、手続きをしないと国民年金基金連合会へ自動移換されて運用が止まります。
- 企業年金連合会「2024(令和6)年度 企業型確定拠出年金実態調査結果(概要版)」(2026年3月26日):https://www.pfa.or.jp/activity/tokei/files/dc_chosa_kessan2024_1.pdf
- 厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html
- 本文の数値は2026年10月21日に上記資料を取得して確認しました。毎月2万円・20年の積立の金額は筆者による計算例です。