信託報酬は9年で1.09%→0.90%|インデックスは0.33%
本記事は情報提供を目的とした解説であり、特定の投資手法・金融商品の購入を勧誘するものではありません。記載の数値は2026年9月時点で資産運用業協会・投資信託協会が公表している集計値に基づくもので、以降の改定は反映していません。集計値は平均であり、個別のファンドの費用や運用成果を示すものではありません。投資信託は値動きのある商品で、元本割れとなる可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
結論から言うと、公募株式投信(追加型)の信託報酬の平均は、2017年の1.09%から2026年3月の0.90%へ下がりました。下げ幅がいちばん大きかったのはインデックス型で、0.46%から0.33%へ。率にすると約3割です。同じ指数に連動する商品どうしを比べるとき、最後に残る差はほとんどこの数字になります。ただし平均値には読み方の作法があり、そこを押さえないと自分の負担額と取り違えます。
信託報酬は何に対して払う費用ですか?
信託報酬は、正式には運用管理費用と呼ばれます。買うときに一度だけ払う購入時手数料と違い、保有しているあいだ、毎日、純資産総額に対して差し引かれ続ける費用です。値動きに関係なく発生します。FIREを目指して20年、30年と持ち続けるなら、この項目だけは確実に効いてきます。
数字は資産運用業協会が「公募株式投信(追加型)における運用管理費用(信託報酬)の推移」として毎年集計しており、2026年3月末時点のファクトブックに時系列で掲載されています。各投資信託委託会社がファンドごとに公開し投資信託協会へ提出した料率を集計したものです。
9年で平均はどれだけ下がりましたか?
全体の平均(株式投信・追加型)の推移は、2017年1.09%、2018年1.08%、2019年1.06%、2020年1.04%、2021年1.02%、2022年1.00%、2023年0.97%、2024年0.94%、2025年0.91%、そして2026年3月が0.90%です。毎年きれいに下がり続けています。2026年3月以外は各年12月末の数値です。
| 区分 | 2017年 | 2026年3月 | 低下幅 |
|---|---|---|---|
| 株式投信(追加型)全体 | 1.09% | 0.90% | 0.19ポイント |
| インデックス型 | 0.46% | 0.33% | 0.13ポイント |
| アクティブ型 | 1.18% | 1.08% | 0.10ポイント |
| ETF(アクティブETF含む) | 0.36% | 0.27% | 0.09ポイント |
| 確定拠出年金向け | 0.70% | 0.56% | 0.14ポイント |
低下幅の絶対値だけ見ると確定拠出年金向けの0.14ポイントが大きく見えます。ただし出発点が違うため、率で見ると印象は変わります。0.46%が0.33%になったインデックス型は約28%の低下、1.18%が1.08%になったアクティブ型は約8%の低下です。同じ「下がった」でも、下がり方の性質が違います。
下げ幅が最も大きいのはインデックス型です
この差はそのまま、資金の集まり方に対応しています。投資信託協会の「数字で見る投資信託」(2026年8月14日公表)によると、インデックス型ファンドの純資産総額は2026年7月末で218兆1,306億円。公募株式投信336兆1,769億円に対して64.9%を占めます。本数で言えば公募株式投信は5,764本、公募投信全体では352兆5,277億円・5,851本という規模です。
同じ指数なら、残る差は信託報酬だけですか?
いいえ、そこは正確に押さえておきたいところです。投資家が実際に負担するコストには、信託報酬のほかに売買委託手数料・有価証券取引税・監査費用などが含まれ、これらは事前に料率が確定しません。決算後に交付される運用報告書に、実質的にかかった費用として記載されます。加えて、指数との連動のずれ方も商品ごとに違います。
それでも信託報酬から見る意味はあります。唯一、買う前に確定した数字として分かるのがこの料率だからです。まず信託報酬で候補を絞り、次に運用報告書で実際にかかった費用と連動状況を確かめる。順番としてはこれが現実的でしょう。
0.75ポイントの差は、年額にすると効き方が見えます
率のままだと小さく見えるので、金額に直します。インデックス型の平均0.33%とアクティブ型の平均1.08%の差は0.75ポイント。資産3,000万円を1年間持ったとすると、前者が年99,000円、後者が年324,000円で、差は年225,000円になります。5,000万円なら年375,000円の差です。
この金額を、取り崩しの側から眺めるとどうでしょうか。年間支出の25倍を目標資産として4%ずつ取り崩す考え方に当てはめると、3,000万円からの取り崩しは年120万円。年225,000円は、その約19%に相当します。ただしこれは平均値どうしを並べた計算例であり、特定の商品の費用や将来の運用成果を示すものではありません。個別の料率は必ず交付目論見書でご確認ください。
平均値は、前提を確認してから比べます
最後に、この数字を扱ううえでの注意点を3つ挙げます。いずれもファクトブックの注記に明記されています。
- 単純平均であって加重平均ではありません。純資産総額の大きさは反映されていません。低コストの商品に資金が集中していれば、投資家が実際に負担している平均はこの数字より低くなり得ます。
- 税抜の数値です。目論見書に載る料率は税込表記のことが多いため、そのまま比べると数字が合いません。
- 集計の対象範囲が区分ごとに違います。「株式投信(追加型)」「インデックス」「アクティブ」「ETF」の4区分は、確定拠出年金向けファンド・マネープール・財形・ミリオンを除外して集計されています。ファンド・オブ・ファンズなら、交付目論見書における当該ファンドの料率が使われる決まりです。
ファクトブック自身も、運用管理費用は各ファンドが投資する地域や資産、運用方法によって異なると断っています。平均は市場全体の方向を見るための数字であって、自分の保有商品の費用を言い当てるものではありません。自分の負担額を知りたいなら、見るべきは平均ではなく、保有しているファンドの交付目論見書と運用報告書です。
よくある質問(FAQ)
- Q. 信託報酬の平均はいくらですか?
- 資産運用業協会のファクトブック(2026年3月末)によると、公募株式投信(追加型)の運用管理費用の単純平均は0.90%です。内訳はインデックス型0.33%、アクティブ型1.08%、ETF0.27%、確定拠出年金向け0.56%。いずれも税抜で、確定拠出年金向け・マネープール・財形・ミリオンを除いた集計です。
- Q. インデックス型の信託報酬はどれだけ下がりましたか?
- 2017年の0.46%から2026年3月の0.33%へ、0.13ポイント下がりました。率にすると約3割です。同じ期間にアクティブ型は1.18%から1.08%で0.10ポイント、ETFは0.36%から0.27%で0.09ポイントの低下でした。下げ幅が最も大きいのはインデックス型です。
- Q. 同じ指数に連動する投信は、信託報酬だけで選んでよいですか?
- 信託報酬は比較の出発点になりますが、それだけで決まるわけではありません。実際の保有コストには売買委託手数料や監査費用なども含まれ、指数との連動のずれも商品ごとに異なります。まず信託報酬で候補を絞り、次に交付運用報告書の実質的な費用と連動状況を確認する順番が現実的です。
- Q. 信託報酬の差は金額にするといくらですか?
- 資産3,000万円を1年間保有した場合、インデックス型の平均0.33%なら年99,000円、アクティブ型の平均1.08%なら年324,000円で、差は年225,000円です。これは平均値どうしを比べた計算例であり、特定の商品の費用や運用成果を示すものではありません。
- Q. インデックス型はどのくらい普及していますか?
- 投資信託協会の「数字で見る投資信託」(2026年8月14日公表)によると、インデックス型ファンドの純資産総額は2026年7月末で218兆1,306億円、公募株式投信336兆1,769億円の64.9%を占めます。ETFの純資産総額は130兆9,495億円・419本でした。
- Q. 信託報酬の平均値は加重平均ですか?
- 加重平均ではなく単純平均です。ファクトブックには「単純平均で算出」と明記されており、純資産総額の大きさは反映されていません。残高の大きい低コスト商品に資金が集中していれば、投資家が実際に負担している平均はこの数字より低くなり得ます。平均値を自分の負担額と読み替えないでください。
- 一般社団法人 資産運用業協会「投資信託の全体像(ファクトブック)2026年3月末」13. 公募株式投信(追加型)における運用管理費用(信託報酬)の推移:https://www.imaj.or.jp/statistics/factbook/pdf-cms/FACTBOOK_202603.pdf
- 一般社団法人 資産運用業協会「数字で見る投資信託」(2026年8月14日):https://www.toushin.or.jp/files/statistics/3/20267.pdf
- 金融庁「投資の基本」:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html